トップページへ戻る

八戸線

第一章「出発」

天気は快晴。旅行びよりだ。
ここは東北新幹線終点の八戸駅。
八戸線に乗るためにわざわざ来てしまった。
話では、国鉄の電車が今でも元気に働いているとか。
八戸線ホームに降りると、なんといきなりキハ40型にあってしまった。
驚きを隠せない。それも当然。
今ではキハ40型は全国どこを回っても国鉄色はなかなか見られる電車ではない。
気動車の太く堂々たるアイドリング音が構内に響く。
そして12分前にはもう乗ってしまっていた。
5分前には満席状態。ホイッスルの音とともに出発…

第二章「見え方が違う街」

アイドリングとはまた違った太く堂々たるエンジン音と振動が、体をゆする。
リズムのいいジョイント音…左には簡単な新幹線車両基地。
と、いろいろ見てるうちに大きな楕円を描き始めた。
田んぼを縫うように走る。駆られた田んぼだが、なぜか気動車どくどくな音を聞くと夏にタイムスリップして半袖でも過ごせるような世界に引きずり込まれる。
そして最初の駅「長苗代」にゆっくりと滑り込む。
1分も止まると、また、鈍い音を立てゆっくりと走り出す。
そして、また大きな楕円を描きながら、町の方向に走り出す。
ばくは、少しずつ大きくなっていく町を、「ボ〜」っと見ていた。
すると・・・家を避けるかの様に高架になっていく…
あんなに田んぼだった沿線が急に団地のような町になっていく。
驚きながら景色を見ていると、ガクンと来た。
ブレーキをかけ始めている。近くに島式ホームの「本八戸」が見えている。
到着…ざっと30人〜50人ぐらいの人が降りてってしまった。
空席が目立つようになったところでまた鈍い音を立て、本八戸駅をあとにした。
本八戸を出るとさらに都会になっていく。マンションを避ける様にさらに走っていく。
窓から寒い風が強く入ってくる。制限速度を見るとなんと70キロ表示があった…
「なんて速いんだろう…」と思い外を見ていると、総人口243543人だけなのに八戸がとても大都市に見える。
電車は町を一味違った風景に変えてくれる。そんな乗り物が電車なんだろう。と、つくづく思う。
高架のまま続く線路の先に小さな駅が見える「小中野駅」だ。キハ40は、ゆっくりと停車した。
しかし、降りる客は、10〜25人だった。また鈍いエンジン音を立てゆっくりと走り出した。
あと3駅でこの楽しい旅が終わる…

第三章「その終点は…」

ついに、残り3駅になってしまった…
この驚きや楽しみがあったこの旅ももうすぐ終わりを告げる…
と思っているとどうしても「ボー」してしまう。急にジョイント音が響き始めた。
急に景色を見直すと、川の上にある鉄橋だった。かもめが鉄橋の周りを飛んでいる。
とても海に近づいた証拠だ。それにしても電車の周りを優雅に飛んでいる。
この鉄橋は10秒も走っていないのに、とても考えることが多すぎて、とても長く鉄橋の上を走っていたような気がした。
そんなことを考えているうちに「陸奥湊」に来てしまった。脇には市場が見える。
よくよく考えると、陸奥湊駅で高架から地上に降りていることに気づいた。
あと2駅で終点だ…
このまま海に近づいていくことだろう。またエンジンがうなって加速している。
それにしても高架だったときとは違って家も少なくなってきた。
右には崖、左にはセメント工場が見える。なんと味のない景色だろう…
しかし一生に中で一回しかも乗れないかもしれないからには、この景色も大事なのだろう……電車がブレーキをかけている。
そしてついに「白銀駅」についた。どんどん「小中野駅」からどんどんさっぱりとしている。
この状態で一面しかないさっぱりした駅だが、これから行く終点の駅はどうなっているのだろう。
さっきから車内に潮のにおいが漂っている。もう海が見えるからだろう。
次で終点の駅だ。潮のにおいを車内いっぱいに漂わせ、終点駅に走っている。さっきから気づいていたが、終点駅に近づくほど、晴れの天候になって来ている。
終点に着く電車を祝うように…
アナウンスがなった。「ご乗車ありがとうございます。まもなく終点鮫〜鮫〜」
そうだったのか終点は鮫だったのか。と思ってしまった。
それも確かに、このために、八戸に来たのだが、あんまり下調べしていなかったのだ。
もうすぐ終点の鮫に着く。ゆっくりと減速している。これでぼくの、充実した旅行が終わる。
窓の外に目をやると今度は100メートルぐらい近くに海がある。
海岸の周りには工場がさっきより立っている。そしてゆっくりと終点「鮫」についた。

第四章「この旅で得たもの」

振り返るといろいろなことがあった。と、帰りの新幹線で思った。
車から見ると「仙台と比べて小さい町だな」と思っていた。
しかし電車というものは景色を変え。町を大きく見せてくれる。
今まで、電車は、乗り物だと思った。しかし電車とは、景色を大きく優雅に見せてくれる。
そんな乗り物が電車なのだとつくづく思った…。

 

この読み物の著作権は485はつかりに帰属します
トップページ読み物>八戸線
Copyright (C) 2008-2011 あこさん, All rights reserved.